みずいぼについて

要約

みずいぼ」はウィルスが原因で子供に多く夏に多い病気です。放置して置くとどんどん増え他人にも伝染ります。そのため多くのプールでは「みずいぼ」のお子さんの遊泳を禁止しております。診断は1~5mmぐらいの半球状の皮疹で中に白い粥状の内容物が透けて見えるのが特徴です。早く発見して数個のうちに摘除してしまいましょう。

はじめに

「みずいぼ」(伝染性軟属腫)はウィルスで感染する病気で「とびひ」と同じで子供に多く、夏に多い病気です。このウィルスは基本的にはさほど強い伝染力はありませんが学校や幼稚園・スイミングスクールなどでよく流行します。大人にはめったにみられません。またこれもアトピー性皮膚炎のお子さんにも多く見られ、「とびひ」と同様皮膚のバリアー機能が低下しているためと考えられます。

原因

ポックスウィルスの一種であるMCVウィルスが原因です。ヒトからヒトへの伝染以外にタオルやプール・お風呂の水などでも伝染るのではないかと言われています。ただ出来ないお子さんは全然出来ないのに、一度出来たお子さんは何回でも繰り返す事を考えると、ウィルスの伝染力の強さよりも個人個人のウィルスに対する抵抗力に問題があるのではないかと思います。

症状

体中どこでも出来ますが、半球形に盛り上がった1~5mmぐらいの小腫瘤がたくさん出来ます。最初のうちは小さくて少し盛り上がっているだけで「みずいぼ」かどうか判別しにくい場合もあるのですが、中に白い粥状の内容物が透けてみえるのが特徴です。これがなければ「みずいぼ」とは診断しません。そしてこれが大きくなって5mmぐらいになると、中心臍窩といって半球形の頂上の真中が凹んできます。これは「みずいぼ」だけでなくウィルス性発疹症の皮疹には全てみられるもので、判別不能な皮疹でもこの中心臍窩があれば少なくともウィルス性のものであると診断できる程です。

「みずいぼ」が数個できた段階で治療をすれば良いのですが、この段階で放置すると数十個~百個ぐらいまで増えてしまいます。また個数が増えれば増えるほど他人にも伝染りやすくなります。

治療法

治療法はいろいろありますがやはり摘除(ピンセットで摘み取る)が確実です。他の方法もいろいろやって見ましたがこれが一番と思います。

確かに摘除時には痛みを伴いますので早く発見して数個のうちに治療してしまうのが良いでしょう。数十個ともなると摘除するのも大変ですしお子さんの痛みも大きくなります。しかし痛そうだからと言って放置すると数個のものが数十個になってしまうのですから意を決して摘除を受けましょう。

当院では数が多くなければ希望により痛み止めのシールを貼る前処置を行ってから摘除することもあります。医師の中には放置しておけば良いという人もみえますが、私の経験では放置で治ったという事はありません。放置している間にどんどん増え、周囲のお子さんにも伝染するのでやはり早く治療した方が良いでしょう。

実際私の診療所には「他院で放置してよいと言われた」、「取ると痛そうなので放置しておいた」、「子供が嫌がるので」という理由で放置の結果、百個近くにもなってしまってどうにもならなくなって駆け込んでくる患者さんが大勢みえます。早いうちに数が少ないうちに治療してしまう方が結局は良い結果になると思います。

他に治療法としてはあまり有効なものはないのですが、どんどん増えて行くお子さんには漢方薬のヨクイニン(ハトムギのエキス)を内服が良いようです。この内服だけで「みずいぼ」が治る訳ではありませんが、増え続けるのを有る程度抑制する効果はあるようです。実際それまで毎週5~6個出来て通院していたお子さんがヨクイニンを内服するようになってから新しく出来る個数が減り始め、2ヶ月ぐらいのうちに全然出来なくなってしまった。こういう例がたくさんあります。

予防と生活上の注意点

今まで申し上げたように「みずいぼ」はウィルス性疾患で放置すれば自分の皮膚でも増え続けるし、他人にも伝染ります。そして「とびひ」と同じようにスィミングスクールや幼稚園・学校で伝染るためスィミングスクールでもプールでの遊泳を禁止している所が多いようです。従って治療せずに放置すればいつまでたっても治らず、プールにも入れない状態が続きます。これはお子さんにとっても友達から仲間はずれにされた様な感じがして教育上良くないと思います。またこれは確かな話ではありませんが、幼稚園に通うお子さんたちのお母さん方の中で「あの子はみずいぼがあるから一緒に遊んではだめよ」と言っている方も居るという話です。

それもこれも「みずいぼ」を早く発見してきちんと治療してしまえば済む事です。「痛そうだから」とか「子供が嫌がるから」とは言わずに早いうちに発見して早く治療を受けてください。お子さんたちの社会生活上の問題点も考えてあげてください。